ひょうご被害者支援センターは犯罪・犯罪に類する行為などで被害に遭われた方、そのご家族やご遺族に対して支援を行っています。

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ニュースレター

Vol.10 発刊日 2007年12月

●犯罪被害者支援法制度の現状と当センターの役割

弁護士
特定非営利活動法人ひょうご被害者支援センター理事 中川 勘太

ひょうご被害者支援センター副理事長 井関 勇司近年、犯罪被害者支援をめぐる法制度の拡充は瞠目すべきものがある。平成16年に犯罪被害者等基本法が制定され、平成17年の犯罪被害者等基本計画が策定され、平成19年には刑事訴訟法の改正により被害者の刑事手続への関与拡充が実現するに至った。
これらの制度については、今後、具体的立法や具体的運用が明確となるものが多い。基本法及び基本計画における犯罪被害者の居住の安定、雇用の安定、保健医療サービス及び福祉サービスの提供等については、個別の法制度が策定される必要がある。また、改正刑事訴訟法における被害者の手続参加(証人尋問、意見陳述等)や損害賠償命令制度等の具体的運用については、裁判所の訴訟指揮に委ねられている部分が多く、個別の事案の集積を通じて運用方針が定まっていくものと思われる。その意味で、現在の犯罪被害者保護法制度は、重大な進化を遂げつつも、具体的な制度の構築や運用については未だ過渡期にあるといえよう。

このような現状に照らし、民間の犯罪被害者支援センターに求められる大きな使命としては、犯罪被害者に対する情報提供が挙げられる。今後、犯罪被害者支援制度のメニューは飛躍的に増大し、関係する機関も増加することが予想される。そのような状況においては、民間の被害者支援センターにおいて求められることとなろう。現状においても、現在の法制度において被害者に認められた権利とその行使方法や、警察や行政庁その他関係機関が提供しうる被害者支援制度について、相談業務等を通じて適時適切に提供することが不可欠である。被害直後の犯罪被害者が、如何なる機関に何を求めることができるかを明確に認識していることはありえない。時には、犯罪被害による環境の激変により、自らが何を求めているのかすら把握できないケースもある。このような場合に、関係機関が行っている被害者支援業務に関する情報を提供し、必要に応じて付添を行い、また、弁護士・臨床心理士等の紹介を行うことにより、被害者のニーズと被害者支援制度との間をつなぐ作業が必要不可欠である。
また、上記のとおり、現在の犯罪被害者保護制度については、個別具体的な法制度が策定途上にあるものも多い。民間の被害者支援センターにおいては、犯罪被害者のニーズを汲み取り、関係各機関に働きかけることによって、実態に即した支援制度を構築するよう求める必要があろう。現在、民間の被害者支援センターが有している人的、物的基盤は極めて限定的ではあるが、センターにおいて支援に携わる者が制度に精通し、適切に被害者とコミュニケーションを図って双方向の情報交換に努めることによって、被害者支援制度の実効的な運用に資することができるものと考える。

シンポジウム 平成19年11月11日(日)開催

「DV法の適応範囲の拡大を!行政窓口・医療機関は犯罪被害者の声を聞いて下さい。」

「人ごとと思わないで!明日はわが身!」
ストーカー殺人事件遺族 尾ノ井廣行

1999年2月、元交際相手の男に妹さんを殺害された兄・廣行さんは、あのころに比べる精神面のケアやマスコミ対策など、警察や民間の支援団体による被害者や遺族への支援は随分進んだのだなと思っています。このような支援は事件直後だけではいけないです。長期的な視点で援助していくことが最も大切ではないでしょうか。ストーカーや女性に対する家庭内暴力で特に交際中の若い男女間での暴力「デートDV」は、《配偶者暴力防止・被害者保護法》の適用外で、犯罪としての認識がありません。見せかけだけの謝罪をし、再び同じような暴力を振るうので、暴力に支配された被害者は自分で逃げ出せないのです。外国では元交際相手や現在の交際相手も含めてDV法が適用されています。日本の法律もこの範囲まで認めてほしいです。ワイドショーの取材のあり方や報道の方法にも問題があると思います。被害者の遺族・家族にたいして配慮が必要です。私は「全国犯罪被害者の会(あすの会)」に参加したことにより被害者の本当の心を社会に訴え続けていきたいと思っています。

「あきらめない」

殺人未遂事件の被害当事者 岡本真寿美

1994年2月、自分になんの非もない災難で、4リットルのガソリンをかけられ、ライターで火をつけられた。全身90%に及ぶ深刻な火傷をおいました。私は事件に遭うまで本当に普通の生活をしていて、仕事もプライベートも充実していました。でもこの事件により一命は取り留めたものの、25回もの手術・多額の治療費の請求・失業=無収入になりました。治療費の支払いを巡って医療機関からの執拗な請求が続くなか、生活保護の申請をしましたが、担当者は「犯罪被害者だから加害者にお金を請求し、生活保護を受ける必要はない」と言い出す始末。加害者には支払い能力がなく、無収入で辛い毎日でした。「無理をすると皮膚がやぶけ化膿し、即その日に入院というのが日常茶飯事で、精神的にも肉体的にもボロボロの状態でした。毎日どう生きていくのか」加害者は守られているのに、私は後ろ指をさされている。そんな時に「あすの会」を知り遺族の方々と犯罪被害者支援にむけて活動を始め、「犯罪被害者等基本法」の成立をみました。この制度を無駄にしないこと、命の尊さを伝えていくことが≪あきらめない≫で生きてきた私の使命だと思っています。

事故により掌中の珠の娘を、犯罪被害によりかけがえのない息子を亡くすということは、何故、どうして…と答えのでない問いを一生続けていくことです。

「土に帰るオカリナ」

JR福知山線脱線事故遺族 奥村恒夫

2005年4月25日に起きたJR福知山線脱線事故により一人娘を亡くしました。106名の犠牲者がでました。私は運転手も犠牲者の一人と思っていますので107名の犠牲者です。重軽傷者562名です。このたび「トリアージ」が初めて使われました。この取り扱いが適切であったか疑問に思っています。娘を亡くすということがどんなに辛く苦しいか。事故当日のJRは、なんの説明も案内もなく、今後の予定もわからない状態で全く危機管理ができていませんでした。私は病院を三ヶ所まわり午後9時28分に娘の死亡をポロライド写真で確認しました。娘はまだ21歳です。ビニール袋に入れられた衣服が放置されていました。娘は卒論を書き終え就職の予定でした。遺骨を削って「オカリナ」を一対作りました。一つは娘の大好きだった遥か遠くの土地に埋めました。もう一つは私達夫婦が持っています。遠くの地にあるオカリナはいつか土に帰る日がくると思っています。娘を亡くしてからは趣味も辞め、職も辞め、何も出来ずに鬱になった父親ができることは、娘が夢見たことは何でも叶えてやる事だと思っています。

「集団リンチ殺害事件遺族」
集団リンチ殺害事件遺族 高松由美子

1997年8月に中学時代の同級生10人に集団リンチを受け息子が亡くなりました。息子の死の直前に何があったのか?なぜ命を奪われなければならなかったのか?事件の真相を知りたいと思っても少年法の壁が立ちふさがり、何ひとつ私達は知ることができなかった。その中で真相を知るために私達夫婦は、少年と保護者の責任を問う損害賠償を求める民事訴訟をおこし勝訴しました。そんな日々の中、「あすの会」の被害者遺族と知り合い大きな支援をしていただきました。現在、私は自分達の受けた支援の恩返しに「傍聴支援」の活動をはじめ、裁判で緊張する遺族の気持ちを、少しでも和らげ安心してもらえるよう活動しています。そして加害者と同じ地域に住む被害者遺族は、加害少年やその家族と偶然会うことがあり大変辛い思いをする。息子が亡くなった時から私の時間は止まってしまいましたが、日々の暮らしは憎しみだけでは生きて行けません。私はこれからも、事件で止まったままの時間を抱えながら、現在の時間を犯罪被害者支援に携わりながら駆けて行きたいと考えています。

パネルディスカッションでは、各パネリストから被害者に必要な支援について自由に発言してもらいました。犯罪事件・事故直後の生活支援、役所などへの付き添いや申請手続きの支援、公営住宅への優先住居ができる条例整備が必要であると訴えられた。

尾ノ井さんは、事件直後は誰とも会う気がせず、家族を守ることで必死だった。役所への手続きや買い物などを手伝って欲しかったと話された。岡本さんは、病院から「医療費を払え、払え」と壊れたラジオのようにズーと言われ、肉体的にも精神的にも参ってしまい病院へ行けなくなってしまった。こんな時、支援センターの支援員に、役所や病院への付き添いや書類申請等の手続きをして欲しかったと話された。会場から、支援に関わった弁護士が公営住宅の空いている部屋を紹介されたが、交通の便が悪く、今までの生活を維持するのが難しかったと紹介された。また、別の弁護士は加害者から逃れるための公営住宅の確保や事件・事故直後の被害者が優先的に公営住宅などに入居できる制度が必要であると指摘された。会場の参加者より、自治体の取り組みは遅れている。各自治体は被害者支援施策を条例化し、早急に予算を確保すべきだと訴えられた。奥村さんは、JR脱線事故で多くの死傷者がでて、その上、遺族の一人が飛び降り自殺をされ、とてもつらかった。被害者や遺族の中には、うつ症状になる人もいる。被害者の話しをゆっくり聞いてあげて欲しいと話された。高松さんは、被害者にとって「がんばって」と声をかけられることが一番きつい、「一緒にがんばろうね」「背中をちょっと支えてあげるよ」と、柔らかい、温かい気持ちで支援して欲しいと話された。

未解決事件の情報提供を求めるビラには、2件の未解決事件が載っています。皆さんに見ていただいて、事件の事を知ってもらいたい。

シンポジウム終了後、未解決事件の須磨区主婦強盗殺人事件遺族より「事件より4年半が経ちました。情報提供を求めるパネルを張ったり、警察のホームページでも情報提供を呼びかけています。そこでは、他に2件の未解決事件が載っています。みなさんに見て、知って頂きたい。一刻も早く犯人が捕まって欲しいという気持ちです。本日のビラ配りにご協力ください」との呼びかけがあり、JR三宮駅で、遺族、当日シンポジウムの参加者の方々、当支援センターのボランティア、当支援センター理事・事務局スタッフなど25名が、約2,000枚の情報提供を求めるビラとポケットティッシュを配りました。多くの通行人の方々より、「早く捕まるといいね」「がんばってください」と多くの励ましの言葉を頂きました。本当にありがとうございました。

平成19年度4月~9月(半期)

相談活動報告

電話相談件数は、昨年度に比べ若干減少しているが、殺人事件、暴行・傷害事件、DV被害者などからの相談が多く受理された。また、警察や他の相談機関等からの紹介で、裁判傍聴など直接支援活動の受理件数も増加した。

電話相談(延べ件数)

相談内容 件数 相談内容 件数 相談内容 件数
殺人 3 3 暴行・傷害 2 12 財産的被害 4 6
強盗 0 0 その他の身体犯 0 1 DV 1 13
強姦 1 2 交通死亡事故 3 0 ストーカー 0 0
強制わいせつ 2 1 交通事故 3 3 その他 8 21
その他の性被害 0 1 危険運転致死 0 0      
            合計 27 63

 

電話相談後のフォロー(延べ件数)※紹介先の重複あり

電話相談のみ   51 紹介 女性被害者の民間支援団体 2
面接相談 当センター協力弁護士 2 兵庫県交通事故相談所 1
当センター協力臨床心理士 3 交通事故被害者の会 1
紹介 弁護士会 3 神戸地方法務局 人権相談所 1
家庭裁判所 1 他の被害者支援団体 2
法テラス 9 その他の機関 1
少年サポートセンター 1 直接
支援活動
裁判傍聴 9
警察 9 付き添い 裁判所 24
病院 1 検察庁 1
子ども家庭センター 1 面接   2
精神保健福祉センター 1 自宅訪問   1
消費生活センター 3 グループ支援 自助グループ例会 4
男女共同三画センター 1 JR事故
被害者の集い
6
兵庫県立女性家庭センター 2 合計 142


直接支援活動状況

当センターでは直接支援員6名を中心に直接支援活動を行っています。現在は、殺人事件、暴行・傷害事件、強姦、強制わいせつ等の性犯罪事件の被害者やその家族に対して、主に裁判傍聴や付き添いなどの支援活動を行っています。ある傷害事件の被害者より、裁判を傍聴したいが「外に出るのが恐い」「事件のことを急に思い出してパニックになる」「一人では不安なので誰かに付き添ってほしい」等の依頼があり、継続して同じ支援員が付き添い支援活動を行っています。被害者より「同じ人がいると安心する、横に一緒にいてくれるだけで心強い」と言われています。また、犯罪被害者遺族の自助グループの支援も行っています。


【news】
平成18年11月 JICA研修員が来所

当センターの狭い相談室にアフガニスタン他9カ国の今後の被害者施策を担う方々が視察にこられました。

【news】
今この様な広報活動をやっています

経済的問題を解消するため県警察のご厚意により理事二名が企業訪問と機会あるごとに募金活動を行っています。また、県下の行政窓口へ広報活動しています。

【news】
第7期生(前期)電話相談員を認定

7月から開催した第7期生電話相談員養成講座が終了し、3名の方を電話相談員に認定いたしました。今はまだ研修生ですが、よろしくお願いします。

【news】
大阪府主催の被害者週間イベントにパネル展示

11月25日~12月1日までの間NHK大阪放送会館アトリウムの啓発パネル展に参加しました。

兵庫県遊技業協同組合様より 多額の寄付!

昨年に引き続き本年も多額のご芳志を頂戴いたしまし、ありがとうございます。被害者のニーズにあった支援活動に使わせていただきます。

【総会・シンポジウムのお知らせ】

日時:平成20年6月7日(土)
総会: 13時~
シンポジウム:14~
場所:ラッセホール
参加費:無料
神戸市中央区中山手通4-10-8
電話:078-291-1117

平成19年度(4月~11月25日現在)寄付者(敬称略)

●うはら工場防犯協会●石井麻木子●中原拓也
●三木千加代●松浦一郎●草苅トシエ
●花田進(花田神経内科クリニック)●中川真規子●反保省子
●小紫由利(ゆり神経クリニック)●アスモ株式会社(尼崎ドライブスクール●南裕子
●山﨑守●清水將之●稲吉純一●櫻井繁樹●田中桂子●飯田美穂
●橋本哲雄・清美●菊川豪(菊川内科・心療内科医院)●(財)兵庫県警察協会
●伊藤嘉邦●大西祐司 ●井奥照男●上田宣吉●兵庫県尼崎東警察
ご寄付ありがとうございました。
心よりお礼を申し上げます。

会員募集

ひょうご被害者支援センターの活動を支える仲間を募集しています。ご協力をお願い致します。
年会費 正会員 個人 5,000円
賛助会員 個人 一口 1,000円以上(何口でも可)
団体 一口 10,000円以上(何口でも可)
郵便振替(おもかげご希望の方もこちらの講座番号へ)
口座番号:009-3-185412 
口座名義:特定非営利活動法人 ひょうご被害者支援センター

 

私たちの活動は、 会費や寄付等で支えられています。
支援はすべて無料で行われますが、支援員の養成・ 研修・広報啓発活動・事務局の運営などに経費を必要とします。
被害者の方が安心して相談できるための活動を理解し、ご支援・ご協力をお願い致します。


発効日: 2007年12月
発行者: 特定非営利活動法人 ひょうご被害者支援センター
事務局: TEL078-362-7512
URL: http://supporthyogo.org

 

●編集後記●
「月花や49年の無駄歩き」という一茶の句がありますが、ただ忙しく過ぎていったこの1年!無駄な1年だったかな?否!自問自答しています。

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