ひょうご被害者支援センターは犯罪・犯罪に類する行為などで被害に遭われた方、そのご家族やご遺族に対して支援を行っています。

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Vol.5 発刊日 2005/2/28

●「直接支援」

理事(弁護士) 垣添 誠雄

去年12月、犯罪被害者等基本法が制定されました。

基本法では、全ての犯罪被害者はその尊厳にふさわしい処遇を保護される権利を有し、国・地方公共団体は犯罪被害者の人権に十分配慮した諸施策を講じる責務があると定めています。基本法は、犯罪被害者の権利章典といえるもので、わが国の被害者対策は基本法制定を機に、大きく充実発展させなければなりません。

平穏に暮らす市民は、ある日突然犯罪に逢い尊厳を破壊され、深刻な被害を受けます。とりわけ被害直後の混乱と危機的状態は、深刻です。最愛の家族の命を奪われた喪失感と絶望の中で、葬儀の準備、警察や検察官による捜査の協力、群がるマスコミへの対応、刑事裁判への関わり等々これまで経験したこともない、日常とかけ離れた困難な問題が次々と遺族に押し寄せるのです。

いわゆる直接支援とは、事件後の混乱した状況に陥って苦しんでおられる被害者、遺族の方々に直接手をさしのべ集中した支援を行うことをいいます。それには、心理的サポートは当然として、生活それ自体を支える具体的、現実的な支援が大切です。

支援者が具体的に何ができるのかを明確にして、多様な支援のメニューを被害者、遺族に提示することです。そして被害者、遺族の信頼を得た支援者がしっかりと寄り添い、ときには被害者、遺族の背中を押しながら被害者の自己決定を尊重し、被害者自らが回復の途につけるように支えてゆくことが必要です。わが国では、直接支援は未だ緒についたばかりといえましょう。

ひょうご被害者支援センターでは従来の電話相談と並行して、未だ十分な内容とはいえませんが、平成14年発生の神戸市西区大学院生殺害事件のご遺族、昨年発生した加古川市の8人殺傷事件の被害者、ご遺族の方に直接支援の一環として寄り添いと法廷傍聴の付き添いなどを始めています。

被害者の支援には、警察との協力連携と医療、福祉、司法等といった専門領域の関係機関との密接な連携も不可欠です。犯罪被害者等基本法では、民間支援団体の活動を促進するために、財政上の措置や情報提供等の方策、支援者の養成、資質の向上等に必要な諸施策を講じると定めています。犯罪被害者支援は、理念から実践の時を迎えたのです。

質の高い充実した直接支援を行うには『ひと、もの、かね』が必要です。そして犯罪が多発している今日的状況では、人口10万人あたり少なくとも1つの民間被害者支援団体が必要といえましょう。犯罪被害者等基本法が定めた支援の充実と犯罪被害者の権利を実現するためには、国、地方公共団体が具体的な立法、条例を制定し支援のための諸施策を速やかに実行することを期待する 。

 

特集 直接支援

●『直接支援』

犯罪被害者遺族自助グループ 六甲友の会
宮脇 勝哉

長男が死亡するという事件が起きてから、すでに6年近く経った。今振り返ってみて、『あれが支援だったんだ』と思い返すことも多かった。記録を残す事を知らせてくれたこと。弁護士を紹介してくれたこと。苦しい胸の内を聞いてくれたこと。裁判を傍聴してくれたこと・・。

できれば被害者支援のエキスパートのような方がいて、個々の具体的支援(情報や知識を提供してくれること、心の安定に寄与してくれること、日常の生活を維持してくれること等々)を整理・統合・分析して下さっていると、事件後の時間をもう少し冷静にやり過ごせたかもしれない。

そのような方が様々な支援のコーディネートをして下されば、直接支援のスタートラインとしては望ましいのではないだろうか。

 

●「直接支援をめぐって」

監事 遠藤 浩

神戸YMCAで国際関係の仕事をしている関係で、とくに最近は、各国で頻発する天災・紛争・戦争などによる被災者の支援活動が業務の中心になりつつあります。現地カウンターパートとなるNGO(多くの場合、現地YMCA)との連携・支援プロジェクト調整と立ち上げ、日本国内でのPR・啓発活動などです。

その基本姿勢は「忘れない」ということ。次々起こる災害や紛争に人身は移ろってゆきます。忘れ去られる恐怖は、災害や紛争直下の恐怖を生き延びた人々を襲う2度目の恐怖と言えるのではないでしょうか。

I would like to stand by you always. 
他者の苦しみにつながろうとする「気持ち」の必要性と共に、その「気持ち」の枯渇しがちな自らの限界も痛感します。この自らの限界を超えるためにも、いかにそうした「気持ち」の持ち主を増やしオーガナイズし、現地へ有効に伝え届け、現地からのフィードバックをまたいかに有効に返すか、そうした「仕掛け」をいかに作り機能させるかをいつも考えている・・実は私の仕事は、直接支援の現場に「直接」携わるよりむしろ、その全般を運営管理する、どちらかというと「後方+側面支援」とでも言えそうです。

もっとも重要な「直接支援」の現場がより良い働きをできるためには、後方と側面で発生するいろんな役割が有効に機能し合うことが必須、と日々思わされています。

 

●「直接支援」のあり方

理事 中川 勘太

ひょうご被害者支援センターにおいては、「直接支援」のあり方について設立当初から議論を続けてきたが、未だ方向性が定まったとは言い難い状態にある。そのような状態に置かれている最大の原因は、直接支援の具体的方策について立法的にも社会政策的にも議論が煮詰まっていない点に求められると推察される。

しかし、直接支援に関する社会的議論が醸成されるのを徒に待つことは、必ずしも適切とは言い難い。被害者支援の実践を目的とする当センターとしては、まずは可能な範囲での直接支援から着手していくべきであると考えられる。

当センターにおいては、従来より個別の要望について理事や事務局長が個別に訪問や付添等の支援を行っており、今年度からは、法廷傍聴を中心とする直接支援をセンターの事業として開始する運びとなっている。法廷傍聴を重ねることにより、当センターのスタッフが被害者と直接に接する機会を持ち、将来的には当センターが被害者のニーズを踏まえた直接支援を行う単体となることを期待する。

 

 

サポートひょうごの仲間による感想をご紹介します

●電話相談員の H.J.さん

センターとして取り組む直接支援に何か関わる事があれば、また被害にあわれたご本人、ご家族に私たちは何ができるのかと考え、研修に参加しています。犯罪の発生から裁判にいたる流れや被害者の置かれている現状から始まり、当事者のお話を聞き、ぼんやりとではありますが、出来ることと出来ないことの輪郭がつかめてきたところです。研修会では活発に様々な意見が出て、少しずつ直接支援に向けての準備が整いつつあると実感しています。

 

●電話相談員の T.K.さん

初めての裁判傍聴(証人尋問)
裁判とはこういうふうに行われるのだと知り、ショックを受けました。
心に傷を負った被害者である証人に対し、長時間にわたり非常に細かい部分まで質疑応答が繰り返されるのです。事実を検証するためには必要なことだと思いますが、私がもし証人の立場であったなら、耐えうるだけの勇気と強さを持ち続けられるか、自信はありません。
「傍らに居てくれると思うだけで安心できました。」そう言って下さった被害者の方の言葉を今でも忘れることはできません。

 

●電話相談員の U.H.さん

被害者の方といっしょに同じ目線で裁判を傍聴することによって、被害者の方の怒りの気持ちや悲しみの気持ちなどその場で沸いてくる気持ちを少しでも共有できたらと思って、今まで何回か裁判傍聴に参加しました。裁判傍聴は今後、もっと踏み込んだ活動をするための第一歩のような気がします。

 

●電話相談員の T.K.さん

支援傍聴を始めて1年余り、法廷では緊張もし、怒りややりきれない思いを時には涙で包んで今日まで来ました。支援者としての自分はどう?自分の気持ちは一人歩きしていない?「寄り添う」ことの意味は?これらを今一度確認する時期にきているのではないか。この原稿を書きながら感じたことです。

 

●事務局の O.T.さん

ここ1年余り、研修の名目で裁判を傍聴する機会が幾度かありました。複数の加害者のいる殺人事件の公判では、殺害状況に関して微に入り細にわたり質問が繰り返される様に途中、嘔吐にちかい感覚がこみあげてきました。ましてやご遺族のお気持ちを考えると、長きにわたる裁判のプロセスの苛酷さに、気づかされます。それだけに、直接支援として被害者やご遺族に「寄り添う」ことの重さ、難しさを感じます。

 

●「直接支援」のこれから

事務局長 堀口節子

H12年に当センターは発足し、4月より電話相談を中心に面接相談(法律相談、心理相談)を行ってきました。当初は、遺族を含めた理事が個人的に直接支援活動を行っていましたが、全国的に「被害者への直接支援」の声が高まり、昨年度より、電話相談員研修の一つとして「裁判傍聴支援」を行ってきました。

被害者支援に関わる者として、裁判に参加し、その空気を肌身に感じることは大切なことです。被害当事者や遺族と共に傍聴席に座り、被告人、弁護士、検事とのやり取りを聞いているだけで、さまざまな思いが込み上げてきます。証人尋問、意見陳述での被害者の真撃な姿からは、胸を打たれるものがありました。相談員ひとりひとりの体験が、これから進められる「直接支援活動」の基礎となるでしょう。

現在は、犯罪被害者遺族や性犯罪被害者などの裁判傍聴、裁判付き添い、病院付き添い話し相手などの支援を行っています。しかし当センターに直接支援のシステムが整っている訳ではなく、活動をしながらシステム作りを行っているのが現状です。

今後の課題として、相談員が安心して活動できるような直接支援システムの整備や充実直接支援員の育成、他の関係機関との連携などが考えられます。役員である被害者遺族のアドバイスを受けながら、被害者支援を実践していきたいと思っています

 

●相談活動報告

1.平成16年度相談件数

表の数字は件数

2.相談内容の内訳

円グラフの数字は%、表の数字は件数

相談内容 H16年度1月まで
犯罪被害者(殺人・性被害等) 33
災害・交通事故等の被害者 8
精神保健相談(被害念慮等) 30
消費者相談等 54
合計 125

 

3.面接相談

面接相談の件数。表の数字は件数

  H16年度1月まで
法律相談 5
心理相談 4
合計 9

 


●本のご案内

犯罪被害者遺族の手記 「おもかげ」

はじめに
最愛の人を失うということ、それは残された家族に大きな心の傷を残します。
そして、それが犯罪という、突然で理不尽な出来事によって失われた場合には、残された家族の心の傷は、さらに深く、そして回復困難なものになってしまいます。 ~(略)~ この手記は、最愛の人を犯罪で無くした遺族の心の葛藤を 綴ったものです。この手記を読むことにより、犯罪被害者遺族の思いを少しでも理解していただければと思います。

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