ひょうご被害者支援センターは犯罪・犯罪に類する行為などで被害に遭われた方、そのご家族やご遺族に対して支援を行っています。

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Vol.6 発刊日 2006年3月

●「小さな花束」

ひょうご被害者支援センター理事長 中井 久夫

ささげまつれ、その花を
耐えるこころのやさしさを
暮るるに遅い夕まぐれ
早くも閉ざす窓の戸を

巻頭言を書きあぐんでいた私だが、今の私には 千万言をついやしても、この四行以上のことが言え るわけでないと思う。ささげる相手は誰か、死者である。非業の死者である。詩は誰に呼びかけているのか。家族、友人、知人であり、また、その人にわずかでも心を寄せる人ならば、その人にあったことのない人でもいい。

花をささげて何になると笑う人もあるだろう。非業の死は理不尽である。非業の死では人生が完結しない。死者はいきつづける。しかし、私たちの手は死者たちには届かない。それも不条理である。

人生はすべて理不尽であり、どんな死も理不尽ではないかという冷静な人もあるだろう。しかし、人生はいつかはしぼむにしても一度は花開いてもらいたいと願うのが人の心である。花束を供えるのは、花開かなかった人生をいたみ、せめてその代わりにこの咲いた花をという気持ちからではないだろうか。個々の人の志でもあり、それを越えたものでもある。花束の姿を見るだけでも少しは花をそなえている気持ちになっている人も多かろう。

もちろん、それでも死者は遠い。供えた花もやがてしぼむ。花はしぼんでも「耐える心のやさしさ」は続く、詩はそのことを知っている。

「暮るるに遅い夕まぐれ」は夏のことではない、ときが停まったように長く感じられるということである。

夜が来るのを待ちかねてついには早く窓を閉ざすことである。それは、死者に祈るためか。家族が肩を寄せ合って思いを共にするためか。誰かが独りもの思いに沈むためか。この詩はそれを語らない。閉ざした中に踏み込まないのは僭越だからだ。そのことは閉ざした戸の中に委ねて、詩は明るいうちから窓の戸を閉ざす心を死者にささげる、詩がささげるものはささやかで、はかない、本筋でないことばかりだ。しかし、それはあるべき慎ましさである。そして、死は窓の外側からそそくさと立ち去りはしない。映画ならずっと佇んだ姿のまま終わりとなるところだ。

巻頭言を書こうとすると、この詩が頭について離れないので、この詩をここに届けることにする。この出所不明の詩にリボンをかけてここに置くのを許される小さな花束であればよいと思う。

 

10・23 犯罪被害者の日 シンポジウム

平成17年10月23日(日)13時~16時
会場:ラッセホール
ビラ配り:JR元町駅東出口周辺
16時30分~17時30分 

パネリスト

姫路ひき逃げ強盗殺人事件遺族・伊藤裕美
JR福知山線脱事故被害者・三井ハルコ

明石歩道橋事故遺族・三木清
DV被害者・川本弥生

4名のパネリストが、被害の状況、被害者となった苦しみ、被害者支援に求めるものを語ってくれました。発表者も、参加者も共に涙する姿が見られ、被害者の思いが心に響くシンポジウムでした。今後の支援課題(生活再建、健康の回復)も示され、民間支援団体ができることを今後も被害者と共に考えて行きたい。

 

●姫路ひき逃げ強盗殺人事件遺族

伊藤 裕美

平成13年12月に、恋人の車からの盗難を阻止しようとして逃走する犯人に兄をひき殺された。犯人は逃走し1年半後に逮捕。平成17年4月無期懲役が確定した。子供を亡くした親の立場にはある程度の配慮はあるが、きょうだいを亡くした子供への配慮はないに等しいと実感した。「両親を支えるように」「兄の代わりに」「兄の分まで生きて」などの周りからの期待や激励が負担になり心身のバランスを崩した。「無理をしないで」という言葉が嬉しかった。きょうだいも遺族であること、周囲の配慮の大切さを訴えられた。

 

●JR福知山線脱線事故被害者家族

三井 ハルコ

NPO市民事務局かわにし事務局長。
平成17年4月に起きたJR脱線事故で子供が入院をする大ケガを負う。事故当時、子供に連絡がとれず、何をしていいか分からず、心臓が手でかきむしられる様な思いで過ごした。幸い、子供の暖かい手を握ることができた。突然、JR事故被害者になり親として家族を支える苦しさ、辛さを体験した。その体験から、負傷者とその家族に寄り添い、長期的に支援するネットワークが必要であると考え「JR事故負傷者とその家族の集い」を開催し、現在も続けている。集いの場での様子や相談内容も紹介され、今後も負傷者とその家族の立場を伝えて行きたいと話された。

 

●明石歩道橋事故遺族

三木 清

明石歩道橋犠牲者の会代表。
平成13年7月、花火大会会場に向かう途中の歩道橋上でおきた群集なだれに巻き込まれて子供を亡くす。当時の記憶は鮮明に残っている。今でも、どうして子供を連れて行ったのか、守ってやれなかったのかと自分を責めている。事故当時の様子、マスコミとのやり取り、他の遺族との交流、裁判の状況などを話される。子供を亡くした辛さは生涯消えることはない。当時の話しをする事は辛いが、同じ苦しみを味わってほしくないと思い、今後も辛い話しを語り続けたい。

 

●DV被害者

川本 弥生

絶間ない暴力、子供を脅す父親、そんな父親でも子供にとって必要な人ではないかとの思いが離婚を遅らせた。夫は離婚後も執拗にストーカー行為を繰返し、長男を殺害する。長年、夫のDVに苦しみ、夫に息子を殺されるという最悪の結果になった。今も夫の暴力から子供を救えなかった事で自分を責めている。にも関わらず「被害者にも非があったのではないか」との周囲の声。
これ以上、DV被害者や遺族に非難の目を向けないでほしい。暴力で植えつけられた恐怖、心の傷を理解して欲しいと訴える。

 

 

それぞれのパネリストの発表時、
終了後にピアノ演奏(森明彦)を行う。

 

会場では自助グループ「六甲友の会」が
作成したパネルが展示されました。

16:30~17:30
JR元町駅周辺 ビラ配り

シンポジウム終了後、シンポジウムの参加者や犯罪被害者自助グループの方々、支援者など約30名が街頭(JR元町駅東口)に出て、3件の未解決事件の情報提供を求めるビラ2,000枚を配りました。

会場では自助グループ「六甲友の会」が作成したパネルが展示されました。

 

相談活動状況

17年度は電話相談、面接相談受理件数ともに、16年度より約1.5倍の増加となっている。昨年5月より、JR福知山線脱線事故の相談を開始。

1.電話相談活動状況(件数)

  合計
4月 9 8 17  
5月 9 17 26 43
6月

14

17 31 74
7月 8 15 23 97
8月 5 17 22 119
9月 5 12 17 136

 

  合計
10月 11 13 24 160
11月 7 16 23 183
12月 4 18 22 205
1月 5 21 26 231
2月 2 20 22 253
3月 5 19 24 277
合計 84 193 277 277

 

マスコミ等で当センター電話相談窓口の紹介もあり、その影響か「殺人」「傷害」「性犯罪」事件等の相談が増加。電話相談の約5割が犯罪事件・事故の被害者からの相談であった。

 

●面接相談活動状況(件数)

  心理相談 法律相談 合計
4月 3 3 3
5月 3 1 4 7
6月 7 3 10 17
7月 6 1 7 24
8月 8 8 32
9月 7 1 8 40

 

  心理相談 法律相談 合計
10月 3 2 5 45
11月 1 1 2 47
12月 3 3 50
1月 2 2 52
2月 4 2 6 58
3月 3 1 4 62
合計 45 17 62 62

 

直接支援活動への取り組み

17年度は、犯罪事件や事故、被害者の自助グループなどの直接支援活動に積極的に取り組んできました。
●殺人事件7件 ●性被害事件3件 ●その他の事件4件(合計14件)の犯罪事件●犯罪被害者遺族の自助グループ ●JR福知山線脱線事故被害者の集いなどのグループへの直接支援活動を行っている。

 

2005年4月~9月 直接支援活動状況(月別)

  4月 5月 6月
支援内容 回数 支援者数 回数 支援者数 回数 支援者数
裁判傍聴     6 15 4 9
面接 3 3 3 3 7 7
付き添い 裁判所     2 2 2 2
病院         2 3
警察            
検察庁            
弁護士事務所 1 1        
自宅訪問 1 1     2 4
自助グループ支援 1 3 2 5    
被害者の会            
JR事故 
被害者の集い支援
    2 3 6 12
合計 6 8 15 28 23 37

 

  7月 8月 9月 上半期合計月
支援内容 回数 支援者数 回数 支援者数 回数 支援者数 回数 支援者数
裁判傍聴 3 9 4 7 3 3 20 43
面接 6 6 8 8 7 7 34 34
付き添い 裁判所 3 3 3 3 1 1 11 11
病院 4 4 4 4 2 2 12 13
警察 1 2         1 2
検察庁 1 2         1 2
弁護士事務所 1 1 2 2 1 1 5 5
自宅訪問             3 5
自助グループ支援        
被害者の会     1 1        
JR事故 
被害者の集い支援
6 12 3 6 4 12 21 45
合計 26 41 26 32 18 26 37 172

 

裁判傍聴に参加して(相談員H)
裁判を傍聴して、加害者の一方的な話しを聞いて、やりきれない、悔しい思い、怒り、悲しみがこみ上げてきました。遺族の方に、どんなお声をかけたらいいのか迷っていました。しかし、遺族の方から「一緒に居てくれるだけで安心する」と、言っていただいて、私がホッとしました。一緒に座っていることでいいんだと、実感しました。

2005年10月~2006年3月 直接支援活動状況(月別)

  10月 11月 12月
支援内容 回数 支援者数 回数 支援者数 回数 支援者数
裁判傍聴 1 2 3 7 4 7
面接 3 3 1 1 3 4
付き添い 裁判所 1 1 1 2 1 2
病院 1 1 2 2 1 1
警察            
検察庁            
弁護士事務所            
自宅訪問 1 2     1 1
自助グループ支援     1 1 1 4
被害者の会 1 1        
JR事故 
被害者の集い支援
4 8 4 7 3 9
合計 12 18 12 20 14 28

 

  1月 2月 3月

下半期合計月

17年度合計
支援内容 回数 支援者数 回数 支援者数 回数 支援者数 回数 支援者数 支援者数 支援者数
裁判傍聴 2 5 3 7 4 8 17 36 37 79
面接 2 3 3 3 2 2 14 16 48 50
付き添い 裁判所 2 3 1 2 1 1 7 11 18 22
病院 3 4 2 4 1 1 11 10 22 26
警察                 1 2
検察庁                 1 2
弁護士事務所 1 1 1 1 1 1 3 3 8 8
自宅訪問     1 1     3 4 6 9
自助グループ支援 1 4 1 3 1 2 5 14 10 25
被害者の会 1 1         2 2 3 3
JR事故 
被害者の集い支援
4 10 5 9 3 5 23 38 44 93
合計 16 31 17 30 13 20 84 147 198 319

 

平成17年度活動報告

4月   ・第4期生電話相談員認定式
    ・第1回理事会
     
5月   ・犯罪被害者の会例会に参加
    ・JR福知山線脱線事故支援に関する臨時理事会
    ・第2回理事会
    ・直接支援研修会(1)
    ・兵庫県被害者支援連絡協議会参加
     
6月   ・犯罪被害者の会例会に参加
    ・電話相談員研修会(1)
    ・総会・シンポジウム開催
     
7月   ・第3回理事会
    ・直接支援研修会(2)
    ・兵庫県臨床心理士会被害者支援研修会参加
    ・兵庫県弁護士会司法センター説明会参加
    ・第7回直接的支援セミナー参加(1名)
     
8月   ・電話相談員研修会(2)
    ・学校事件・事故を語る集会参加
     
9月   ・第4回理事会
    ・直接支援研修会(3)
     
10月   ・電話相談員研修会(3)
    ・兵庫県警被害者支援カウンセリング研修(3日間)開催
    ・犯罪被害者の会例会に参加
    ・「犯罪被害者の日」シンポジウム開催
    ・鉄道事故を考えるシンポジウムに参加
    ・全国被害者支援ネットワーク秋期研修会参加(3名)
     
11月   ・第5回理事会
    ・直接支援研修会(4)
    ・兵庫県被害者支援連絡協議会参加
    ・第8回直接的支援セミナー参加(2名)
     
12月   ・電話相談員研修会(4)
    ・ひょうご防犯まちづくり推進協議会参加
     
1月   ・第6回理事会
    ・兵庫県交通安全委員会参加
    ・直接支援研修会(5)
     
2月   ・電話相談員研修会(5)
    ・全国犯罪被害者ネットワーク事務局長会議参加
    ・全国被害者支援ネットワーク春期研修会参加(7名)
    ・第5期電話相談員養成講座(1、2回目)開催
     
3月   ・第7回理事会
    ・直接支援研修(6)
    ・第5期電話相談員養成講座(3、4回目)開催

 

【報告】尼崎・女性店員殺害事件 容疑者逮捕される

尼崎市で’02年8月、洋品店店員の女性(当時18歳)が自宅で首をしめられ殺害され、同居していた祖母の草苅さんが帰宅後、発見した。事件後、草苅さんは、懸賞金200万円を出し、阪神尼崎駅前で犯人逮捕につながる情報提供を呼びかけるビラ配りを行った。当センターは、’04年5年10月「犯罪被害者の日」シンポジウム終了後、当事件を含む未解決事件3件の情報提供を呼びかけるビラ配りを行った。’06年2月、親類の男性を殺人容疑で逮捕。草苅さんは「少しは無念が晴らせた」とコメントを寄せた。

 

神戸市西区大学院生殺害事件 兵庫県警捜査ミスを認めた賠償命令が最高裁で確定

神戸市西区の大学院生(当時27歳)が、’02年3月、暴力団組長らに拉致、殺害された事件で「適切な捜査をすれば、息子は死ななかった」などとして、母親が兵庫県(県警)と元暴力団組長ら7人を相手に損害賠償を求める裁判を起こした。1審、2審とも捜査ミスと殺害の因果関係を認め、兵庫県と元組長らに賠償金の支払いを命じた。しかし、県警側は判決内容を不服とし、最高裁判所に控訴した。’06年1月、最高裁で母親の言い分を認めた2審判決が確定した。

 

JR福知山線脱線事故から1年

2005年4月25日午前9時18分頃、宝塚発同志社前行快速電車が脱線。107人の尊い命が犠牲となり550人もの方が負傷しました。あの事故から1年目の4月25日に沿線各地で開かれたイベントに、当センターからも多数の相談員がボランティアとして参加しました。
’05年5月の連休明けより電話相談、面接相談(法律・心理相談)を開始。相談内容は遺族・負傷者やその家族、親戚、友人などから事故への怒り、マスコミの過剰取材への対応の仕方、JR担当者との関係、医療費などの経費に関すること、補償交渉、周囲の無理解、今後の生活への不安、交通機関(電車・バスなど)に乗れないや救助者からの相談など多岐にわたり、弁護士や医療機関などの専門機関への紹介も行った。
また、被害者が中心となって開催している集会などへの参加や支援活動も行っている。
●4.25ネットワーク(遺族が中心の集会)
●負傷者とその家族の集い(NPO法人 市民事務局かわにしが中心となって開催)
現在も、JR事故被害者などの電話相談や面接相談を継続して行っています。

 

平成18年度 総会ならびにシンポジウムのお知らせ

日時:平成18年6月18日(日)午後2時~5時 場所:ラッセホール2階 参加費:無料

「犯罪被害者等基本計画について学ぼう」

犯罪が発生すると加害者の人権は認められ、被害者の人権は損なわれる・・これでいいのか!

基調講演:「犯罪被害者等基本計画について」
高橋 正人(弁護士)

~犯罪被害者は証拠品ではない!~

パネリスト

高橋正人/本村洋(山口県光市母子殺人事件遺族)
西井芳文(兵庫県警察本部被害者対策室長)
井関勇司(弁護士・当センター理事)/岩井圭司(兵庫教育大学教授・当センター理事)

コーディネーター
加藤寛(精神科医・当センター理事)・長谷川京子(弁護士・当センター理事)

ご寄付ありがとうございました。心よりお礼を申し上げます。

 

平成17年度 寄付者(敬称略)

●うはら工場防犯協会 ●香住警察署(署員一同) ●生田警察署 ●石川端子 ●福崎警察署 ●石井麻木子●東灘警察署(警務課)●中川勘太●小紫由利(ゆり神経クリニック) 
●高野守秀 ●一瀬さち子●呉藤一生●アスモ株式会社(尼崎ドライブスクール) ●藤本和信 ●村上典子●南裕子 ●井関勇司 ●垣添誠雄●長谷川京子●西谷良彦 ●河瀬真 ●草苅トシエ
その他、多数の方からご寄付がありました。

会員募集

ひょうご被害者支援センターの活動を支える仲間を募集しています。ご協力をお願い致します。
年会費 正会員 個人 5,000円
賛助会員 個人 一口 1,000円以上(何口でも可)
団体 一口 10,000円以上(何口でも可)
郵便振替
口座番号:009-3-185412 
口座名義:特定非営利活動法人 ひょうご被害者支援センター

寄付もお受けしています!

 

発効日: 2006年3月
発行者: 特定非営利活動法人 ひょうご被害者支援センター
事務局: TEL 078-362-7512
URL: http://supporthyogo.org

 

●編集後記●
ニュースレター6号をようやくお届けできる事になりました。ひょうご被害者支援センターも18年度を迎えようやく5年目に入りました。日々の支援を大切にしながら、少しづつ毎日進んで行きたいと思っております。

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